
看護師のボーナスの基本
ボーナスは「基本給×賞与係数」に病院の業績や個人評価などが乗って決まるのが一般的です。多くの病院では夏・冬の年2回支給で、就業規則に支給基準日や在籍要件が定められています。勤続年数や等級テーブル、夜勤回数、部署の人員状況が加味されるケースもあります。
支給時期と回数
一般的には6月(夏)、12月(冬)が多く、期末手当や特別手当が別枠で出る場合もあります。支給日在籍要件や試用期間中の按分など、入職タイミングによって満額にならない点に注意しましょう。
支給額の決まり方
基本給が土台になるため、同じ評価でも基本給水準が高いほどボーナスは増えます。さらに病院の経営状況、個人評価(考課)、勤怠(欠勤・遅刻・早退)、人事等級、夜勤手当の扱い(賞与算定基礎に含むか)が影響します。
対象者の考え方
常勤(正職員)に支給されるのが一般的ですが、非常勤でも就業規則で「賞与あり・按分支給」と明記されていれば受け取れる場合があります。派遣は原則として賞与対象外で、その分を時給・手当に上乗せする設計が多いです。
ボーナス明細の見方と手取り計算
ボーナスは総支給額から各種控除を差し引いた「差引支給額(手取り)」が振り込まれます。明細のどこで差がついているかを把握すると、翌期に向けた改善ポイントが見えます。
控除の内訳
代表的な控除は、社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険)と所得税です。住民税は通常は賞与からは天引きされません。社会保険料は標準賞与額に保険料率を掛けて算出され、上限額も定められています。
よくある差異の理由
所得税は「賞与に対する源泉徴収税額の算出方法」に基づいて決まるため、扶養人数や月額の甲乙区分、前月給与との関係で個人差が出ます。前年より手取りが減る場合は、税率区分や控除対象の変化がないか確認しましょう。
ボーナスを増やすための行動戦略
評価は支給直前に決まるのではなく、期初からの積み上げで決まります。短期で変えられない要素もありますが、看護現場で実行しやすい施策に集中すると成果が出やすくなります。
評価指標を逆算する
病院の評価シートに出てくる「事故・インシデント率」「記録の正確性」「教育・委員会への貢献」「稼働率への寄与(残業抑制・早出の協力)」などを月次で自己点検します。数値化できる行動(提出期限遵守、ラウンドの標準化等)を意識しましょう。
スキルと資格で“等級の土台”を上げる
認定看護師、特定行為研修、BLS/ACLS、感染管理、褥瘡管理などは評価に直結しやすい領域です。部署のニーズと人員構成に沿ったスキルを選ぶと、配属先のキーマンとしての貢献が明確になります。
シフト貢献・柔軟性を可視化する
急な欠員対応、連休明けの高負荷シフト、夜勤の安定運用など、病棟運営に効く貢献は評価に反映されやすいです。日報・委員会議事録・面談記録に事実ベースで残し、主観ではなくエビデンスで示しましょう。
面談での伝え方
「病棟のリスクをこれだけ低減させた」「新人教育の到達度をこう改善した」など、アウトカムと根拠資料をセットで提示します。給与交渉は“お願い”ではなく“価値の提示”として臨むと伝わりやすくなります。
働き方別のボーナス事情
働き方により賞与の設計や期待値は大きく変わります。自分のキャリアステージ・家庭事情・健康状態に合わせて、手取り総額とワークライフバランスの最適点を見つけましょう。
夜勤あり常勤
基本給が高めで等級も上がりやすく、病院によっては夜勤手当の一部が賞与算定に含まれます。体力とのバランスを見ながら、夜勤の安定稼働やリーダー経験の蓄積で評価を伸ばせます。
日勤常勤
夜勤分の加点が少ない分、委員会活動や業務改善、患者・家族対応の満足度向上などで評価ポイントを稼ぐのが王道です。外来・手術室・透析室など配属先特性に沿った成果指標を押さえます。
非常勤・パート
賞与が「寸志・按分」の場合は、時給単価・交通費・処遇改善手当の総合で比較すると納得感が高まります。週の労働時間や契約更新の見込みで、年単位の実入りがどう変わるか試算しましょう。
派遣・応援ナース
原則賞与はありませんが、短期で高時給を得られるため、年間トータルでは常勤賞与を上回るケースも。社会保険・有給・更新リスクを含めて総合判断が必要です。
ボーナスの使い道と家計戦略
ボーナスは“臨時収入”ではなく“年収の一部”として設計すると家計が安定します。目的別に振り分けのルールを決め、迷いなく活用できる仕組みにしておくのがコツです。
三つの口座ルール
①防衛(生活防衛資金・予備費)、②攻め(つみたて投資・自己研鑽)、③ごほうび(旅行・買い替え)の三口座に分け、事前比率を決めます。まずは防衛資金を生活費6か月分まで厚くし、その後に攻めとごほうびを配分します。
教育費・ライセンス更新費の先取り
学会参加費、資格更新費、専門書や研修費は“将来の評価を上げる投資”です。ボーナス月に年額で積み立て枠を確保しておくと、必要時に迷いません。
住宅・車など大型出費の計画
頭金やメンテナンス費の積立、保険の見直しをボーナスに合わせて年1回点検します。固定費の最適化は、翌期以降の可処分所得を永続的に増やす最短ルートです。
よくある質問(FAQ)
Q. 初年度は満額もらえますか?
A. 多くの職場で支給日在籍要件や在籍月数按分があります。入職時期が支給直前なら、次期から満額になる想定で計画を立てましょう。
Q. 産休・育休中の賞与は?
A. 就業規則や労使協定の定めに従います。在籍要件や評価期間の勤務実績によっては減額・対象外の扱いになることがあります。
Q. 転職のタイミングは?
A. 退職日と支給日が近い場合、支給日在籍を満たせば受け取れる設計が一般的ですが、退職の申出時期や就業規則の規定で扱いが変わります。面談前に人事へ必ず確認しましょう。
Q. 明細でチェックすべきポイントは?
A. 総支給、社会保険料、所得税、差引支給額、賞与算定基礎(どの手当を含むか)、在籍按分の有無、評価区分の反映です。不明点は人事・経理に確認し、次期評価に活かしましょう。
